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科学と宗教は水と油?偉大な科学者は有神論者?科学と宗教の距離感

欧米諸国には「チャプレン」という聖職者がいる。一般的には病院内でキリスト教の教えに基づき、死に直面した患者などに寄り添う人たちを指す。現在その活動は拡大し、軍隊や刑務所などの施設に属しているチャプレンも多い。日本でも僧侶が末期患者に寄り添うための「ビハーラ」活動が仏教諸宗派によって展開されているが、欧米に比べて根づくことなく停滞しているのが実情だ。その要因のひとつとして、日本における科学と宗教の分離があると思われる。

科学と宗教は水と油?偉大な科学者は有神論者?科学と宗教の距離感

医療(科学)の領域(限界)とは死ぬその瞬間まで

医療がどれだけ発達しても死というゴールがある限り、延命の技術の発達であるに過ぎない。遠い未来、テロメア研究などの果てに不老不死が実現するのかもしれないが、宇宙そのものに終わりがある以上、結局は同じことである。

医療の領域は死ぬその瞬間までであり、次の瞬間から無効となる。そこから、その後があるとするなら、そこでは魂や死後の世界を説く宗教の世界が必要となるわけだが、宗教的世界観は現代社会を支配する科学的世界観と相容れない。科学的世界観とはつまりは西洋(欧米)の価値観に他ならない。いわゆる「科学」とは西洋社会で誕生したものだからだ。明治以降日本にも近代科学に基づく世界観が輸入されると、宗教的世界観は迷信として追いやられることになる。少年期の福沢諭吉の逸話(社の御神体を暴きただの板だったと述懐)などはわかりやすい例である。

「死後」について沈黙する科学

「死」のその後について沈黙する科学的世界観は、死に直面する者の前では無意味である。若く健康である時分に「神様なんていない」と理性的な態度を取っていても、死を前に態度を変えない者は少ないだろう。宗教学者で無神論者の岸本英夫(1903〜64)はがんに伏した時、死後生の信念を持たないことは「素手で死の前に立っているようなもの」と述べている。

では科学的無神論の本家たる西洋社会では科学的世界観による無宗教・唯物論がさらに徹底しているのかというと、必ずしもそうとは言えない。

科学と宗教の関係に変化が起こった科学革命

近代科学はキリスト教の影響下で生まれ、キリスト教と近代科学は表裏一体ともいうべき関係にある。17世紀に起こった大変革いわゆる「科学革命」(Scientific Revolution)の背景にはキリスト教があったというのが科学史では有力である。一般的にはキリスト教と近代科学は相容れないように思える。ガリレオ(1564〜1642)がカトリック教会の圧力に屈して自らの地動説を撤回し「それでも地球は動いている」とつぶやいたことはよく知られているエピソードだ。だが事実はそれだけではない。ガリレオは敬虔なクリスチャンであり、「神は二つ書物を書いた。一つは聖書、もう一つは自然である」との言葉を残している。

地動説を唱えたコペルニクスはキリスト教関係者だった

天動説(地球中心説)から地動説(太陽中心説)の転換を図ったコペルニクス(1473〜1543)は教会関係者であった。主著「天球の回転について」は当時の教会からの後押しで出版されていることは知っておくべき史実である。コペルニクスが地上説に到達したのは、天動説の複雑な体系が「神の書物」とはとても思えなかったからである。彼は神が創造した世界はもっとシンプルで美しいはずだという信念があった。

世界(宇宙)とは、神が創造したものであり、自然はその至るところに神の意志による隠された秩序が存在する、いわば「神の書物」である。その書物を読み解くための人間の言語が数式であり、翻訳した文章が物理法則である。聖書では人間は神が己の姿を象った「神の似姿」であり神の被造物の中で最上位に位置する。それ故人間は「神の書物」を読み解くことができる。これがキリスト教の世界観から近代科学が生まれた背景であった。つまりキリスト教と近代科学は親子の関係であるといえる。

次第に宗教から距離を置くようになった科学だが、偉大な科学者は有神論者だった

その後、科学はキリスト教から「親離れ」していく。科学は宗教を迷信として切り捨てる唯物論的世界観を形成しキリスト教を圧迫した。しかしキリスト教的背景は払拭しきれるものではなく、科学者イコール唯物論者というわけではなかった。A・アインシュタイン(1879〜1955)、K・ゲーデル(1906〜78)、M・プランク(1858〜1947)ら歴史に名を残す大科学者、数学者が有神論者であることは有名である。現代でもS・ホーキング(1942〜2018)やR・ドーキンスらが無神論者を標榜する一方で、ヒトゲノム研究の第一人者F・コリンズ(アメリカ国立衛生研究所所長)のように神の存在を信じていると公言したり、クリスチャンでもある科学者も少なくない(注)。科学がどれだけ発達しても人間は必ず死ぬ。その先に踏み込めるのは宗教のみである。その時、科学と宗教のつかず離れずの関係が強みとなる。


ドーキンスとコリンズは「TIME」誌で対談しており、ドーキンスは人間が作った「神」を否定する一方で「偉大な何か」が宇宙の背後に存在することを認めている。
God vs.Science」(Time 2006/11/5)

政教分離が原則ではありながらも、西洋の政治家は聖書を持って宣誓する

政教分離の建前があるにも関わらず、大統領が聖書を手に宣誓する西洋社会は、科学と宗教の二刀流なのだ。この二刀流がチャプレンやホスピスの普及の基盤になっている。実際の現場ではチャプレンは必ずしも宗教の話や祈りなどをするわけでなく、患者が望む話に合わせ寄り添うことが中心になっている。しかしその活動の精神がキリスト教の「アガペー」(神の無限の愛)であることは確かである。

一方、科学と宗教が分離している日本

西洋文明は徹底的に世界・宇宙の謎を理詰めで追究しようとした。そこには「神の書物」を読み解く、読み解けるという信念があり、この精神が近代科学を生みだしたのである。東洋にもこういう発想がないわけでないが弱い。インド哲学には「因明」、中国思想にも「名家」などアリストテレスにも匹敵するとされる精妙な論理学が存在したが、いずれも主流にはならなかった。日本人はさらにそうした思考が弱く、天地自然に神や仏が宿っているとする汎神論的世界観などが根づいた。理屈で考えず花鳥風月に心を寄せれてそこに「いのち」を感じることができるといった心性である。神道はまさにそうした自然信仰そのものであったし、仏教も空海(774〜835 )が壮大なコスモロジー(宇宙論)や言語哲学を構築したものの、その後はシンプルな念仏(浄土系)や禅(禅宗系)に移行した。これらの史実は日本人が宇宙の仕組みなどに関心を持てなかったことを表している。以心伝心という言葉もそうした心性を表から生まれたものだろう。

科学と宗教の分離が悪いわけではない

それはそれで特段悪いことではない。神が宇宙の秩序を形成する一神教と、万物に神が偏在する多神教の違いなど、思考の形式の違いというだけである。しかし日本は西洋文化の流入による近代科学の洗礼を浴びると、それまでの宗教観が揺らぐことになる。日本(並びに東洋)は近代科学から宗教(キリスト教)を切り捨てて輸入し、無宗教的唯物論的に捉え、かつ古来よりの仏教・神道・儒教などの宗教世界を遠ざけてしまった。科学と宗教を分離した結果、宗教性は薄れ、「死」への対応が後手に回っているのではないかと思われる。病院に僧侶が来ようものなら縁起が悪いと抵抗されるのは容易に想像できる。西洋のチャプレンに比べて、日本のビハーラ活動が苦戦しているのはこの分離が背景にあるのではないか。

日本独特な科学と宗教の対話

こうした中、近年は唯識と心理学、禅と哲学、仏教瞑想に基づく「マインドフルネス」など、仏教と科学の接近も盛んになってきた。キリスト教と近代科学のような自然な「親子関係」とは異なるが、日本人の心性に根づく仏教と科学の対話による「養子縁組」が成り立ち、新たな死生観が構築される可能性はある。それが死に寄り添う宗教者を受容する素地となることを期待したい。

参考資料

■村上陽一郎「西欧近代科学」新曜社(1971)
■岸本英夫「死を見つめる心」講談社(1973)
■ピエール・チュイリエ著/高橋純訳「ニュートンと魔術師たち―科学史の虚像と実像」工作舎(1990)
■ジョン・ポーキングホーン著/小野寺一清訳「科学者は神を信じられるか―クォーク、カオスとキリスト教のはざまで」講談社(2001)

ライター

渡邉昇(掲載日:2020/04/09 更新日:2020/12/08)

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