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戦中に自粛目的で禁演となった落語を祀る浅草の本法寺のはなし塚

年末年始は、普段よりもお笑い番組がテレビ各局で目白押しだ。それを「またかよ…」「ワンパターン」などと、あえて観ない人や、制作者側が「年末年始だから」といつものバラエティ番組よりも内容が過激になりがちなため、「下品!」「最悪!」と怒り出す人がいるかも知れない。

しかし、かつて日本において、一部のお笑いネタが封印されたことがあった。1941(昭和16)年、東京メトロ銀座線・田原町(たわらまち)駅や、浅草国際通りにほど近い台東区寿町にある、本法寺(ほんぽうじ)内に立てられた「はなし塚」がそれである。

戦中に自粛目的で禁演となった落語を祀る浅草の本法寺のはなし塚

戦時中の日本にどんどん広がっていった自粛ムード

当時の日本は、1931(昭和6)年の満州事変に始まり、6年後の日中戦争突入から、いわゆる「戦時下」の暗い状況にあった。「暗い」時だからこそ、「明るい笑いを!」ということはなく、1938(昭和13)年の「国家総動員法」制定される。

そして、その3年後には「新聞紙等掲載制限令」が公布されるなど、国を挙げて国民すべてに、「贅沢は敵だ!」「ほしがりません 勝つまでは」などと、娯楽的かつ厭世的、そして反戦的なものを徹底的に廃し、日々の節制と「非常事態」に対する緊張を強いつつ、戦意高揚を繰り返し喧伝する方向へと進んで行った。

自粛の対象はお笑い・落語にも広がり、53の落語が禁演とされた

自粛の対象はお笑い・落語にも広がり、53の落語が禁演とされた

そうした状況にあって、東京落語家協会・芸術協会の噺家(はなしか)や席亭(せきてい。落語を演じる場所、またはその場所の責任者)たちは、「軟弱な噺を客に聞いてもらうご時世ではない」と、今日も知られる名作、『明烏(あけがらす)』、『木乃伊(ミイラ)取り』『五人廻(まわ)し』などを含む、廓(くるわ)・女郎噺を含めた艶笑もの、飲酒を扱ったものなど合計53噺を自粛することを決めた。そしてそれらを今後一切高座(こうざ。寄席(よせ)の舞台のこと)にかけないと誓い、53噺の台本を納めた「はなし塚」を建立したのだ。塚の除幕式の折には、すでにこの世にない落語界の諸先輩方に加え、53噺の供養を行なったのだ。塚の裏面には、「1 明烏」に始まり、「53 後生鰻」までの全部の噺が彫られている。

お笑い・落語に限らず、演芸の街として栄えてきた浅草

そもそも「はなし塚」がある「浅草」とは、一昔前までは、日本の地方都市から東京を訪れた観光客や修学旅行生が必ず訪れる、お決まりの「東京観光コース」のひとつだった。そして最近では、日本人よりも、浅草寺や「日本らしい」建物などを背景に、スマートフォンで自撮りを行ったり、お土産をたくさん買い込んでいる外国人観光客でごった返しているイメージがある。そんな浅草のシンボルとは、言うまでもなく、創建が推古天皇の時代(628年)と伝えられる浅草寺(せんそうじ)だ。

殊に江戸が都となってからは、浅草寺周辺に軒を並べる、様々な店や芝居小屋、手品や曲芸などの見世物など、華やかな賑わいを目当てに、多くの人々が集まる、一大文化の拠点となった。葛飾北斎や安藤広重など、名だたる浮世絵師がモチーフとして取り上げもした。浅草の繁栄は明治時代にも引き継がれ、現在に至っている。それゆえ「はなし塚」は、「笑い」に限らず、様々な演芸が盛んであった「浅草」でなくては存在し得なかった塚だと言えるだろう。

敗戦後、禁演落語の封印は解かれたが…

しかし日本は結局、塚が立てられたおよそ4年後の1945(昭和20)年、敗戦を迎えることとなった。これを受けて、翌年9月に落語家たちが再び集まった。そして「禁演落語復活祭」を挙行し、53噺の封印を解いた。塚からそれらを掘り出し、今度は戦時中に「ふさわしい」とされ、演じられていた噺の台本を納めた。

しかし1947(昭和22)年、GHQからの指令で、「軍国主義的」と見なされた敵討ちや婦女子を虐待する内容であるとして、今度は『後生鰻(ごしょううなぎ)』や『山岡角兵衛』など、20噺の落語が禁じられた。それらがまた、「はなし塚」に納められる羽目となった。とはいえ、7年後にGHQの日本占領が終わったことから、その禁は再び解かれ、20噺は堂々と表に出ることになったという。

戦時中の日本と今の日本 当時のお笑いと現代のお笑い

昭和16年に封印された53の噺の中には、現在の我々からすると、「自粛しなくちゃいけないほどダメなの?今のバラエティの方がよっぽど…」と思われるものも少なくないかもしれない。我々はかつて封印された噺を聞きたい、内容を具体的に知りたいと思えば、いくらでも聞くことや知ることは可能だ。翻って考えれば、それこそが「平和」ということで、当時の重苦しい時代とは全く違うということでもある。

お笑いを享受できること それ自体が平和である証

平成も後わずかで終わる。次の時代も平成同様、たとえ「ワンパターン」「またかよ!」だったり、「下らない!」ものだったりしても、我々が当たり前に享受できるお笑いが、内容によっては自粛することになったり、国家権力によって禁止されることのない状況が続くことを、切に祈るばかりだ。

参考文献・資料

■街と暮らし社(編・刊)『江戸・東京文庫 1 江戸の名残と情緒の探訪 江戸・東京 歴史の散歩道 1 中央区・台東区・墨田区・江東区』1999年
■「禁演の落語埋めた『はなし塚』」『日蓮宗新聞』 2010年9月10日号 
■朝日新聞「新聞と戦争」取材班(編)『新聞と戦争 下』2011年 朝日新聞出版
■室井康成『首塚・胴塚・千人塚 日本人は敗者とどう向きあってきたのか』2015年 洋泉社

ライター

鳥飼かおる(掲載日:2019/01/17 更新日:2021/05/10)

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