盂蘭盆会とは？
盂蘭盆会とは、一般的にお盆と呼ばれる仏教行事の一つです。旧暦の7月15日を中心として、7月13日から16日の4日間にわたって行われていたものが、現代ではグレゴリオ暦に併せて行ったり、ひと月遅れた8月15日の前後に行ったり、旧暦のままおこなったりするようになりました。
盂蘭盆会の豆知識：語源の謎
盂蘭盆会は「ウラバンナ」というサンスクリット語をルーツに持ち、その意味は「逆さ吊り」です。なぜそのような言葉が使われるようになったのかは、経典を紐解くとわかります。
経典によれば、お釈迦様の弟子である目連尊者（もくれんそんじゃ）が、神通力を使って亡くなった母親が餓鬼道に落ち、飲まず食わずで逆さ吊りにされて苦しんでいることを知りました。そんな母親を助けようとお釈迦様に相談したところ「母親を救うためには7月15日、夏の修業が終わった頃に僧侶を招き、多くの供物をささげて供養すればよい」と言われたのです。目連尊者がお釈迦様に教わった通りにすると、その功徳により母親は餓鬼道から救われ、極楽浄土へ往生することができたと言います。
このことから、夏の修業が終わった7月15日には、僧侶を招いて供養を行う習わしができました。さらに、そこに日本に古くから伝わっていた「御霊（みたま）祭り」と呼ばれる祖先崇拝の風習が混じり合い、現代の盂蘭盆会の行事になったと言われています。
盂蘭盆会は家に帰ってきた先祖の霊魂をおもてなしするという意味合いの強い行事になっています。このことは同じく先祖供養のための行事である彼岸会との大きな違いです。その考え方の違いが、盂蘭盆会で用意される精霊棚（盆棚）にも表れています。精霊棚には、ナスで作った牛、キュウリで作った馬を位牌や盆花やお供え物といっしょに供えます。これは精霊馬と言って、ご先祖様の霊魂が乗るための乗り物なのです。言い伝えによれば、ご先祖様の霊魂は牛に荷物を引かせて馬に乗ってこの世とあの世を行き来するのです。この精霊馬はお盆の期間中はずっと飾っておきます。お盆が過ぎたなら食べずに川や海に流す、また土に埋めるのが習わしとなっています。茄子ときゅうりの処分に困らないよう覚えておくとよいでしょう。
なお、真宗、浄土真宗においては、お盆の期間中に精霊馬のお供えをすることはありません。なぜならば、祖先の霊魂が極楽や地獄から、お盆の時だけ帰ってくるという仏教の考え方とは違い、亡くなった人々は浄土で仏さまになっており、この世に帰ってくる必要がないだろうという考え方をするためです。
