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刀は傷つけるだけでなく守るための武具 葬儀の守り刀と武具の神秘

葬儀離れや葬儀の簡素化が進む近年において、見かける機会も少なくなってきたものの一つに「守り刀」がある。既に死んでいる故人を守るための刀とは何か。かつての日本人は刀剣や弓といった武具に対して、ただ人を殺める武器以上の神秘を抱いていた。

刀は傷つけるだけでなく守るための武具 葬儀の守り刀と武具の神秘

葬儀の風習「守り刀」

日本の葬儀では故人の遺体を北枕に寝かせ、枕元や胸元に守り刀を置く風習がある。守り刀は納棺の際にも置かれ、現代では金属類など一部の材質を除き、副葬品として遺体と共に火葬されることになる。守り刀の由来や作法は地域によって様々であり一概には言えない。魂の抜けた遺体を魔物や化生の者から守るための魔除けという意味もあれば、冥土への旅支度のひとつで、旅に向けての身の守りとの伝承もある。旅支度には足袋を履かせたり、三途の川の渡し賃の六文銭などがお馴染みである。唯一、浄土真宗では守り刀は置かれない。真宗では阿弥陀仏の慈悲によって死後は即、極楽に往生すると説くため、身の守りは必要ないのである。いずれにしても守り刀は「故人を守るためのもの」という概念の下に置かれる。刀のもつ身の守りとしての特性が守り刀になり、武士階級以外にも広まったのではないか。

刀は武士の魂

「守り刀」というが刀は持ち主の命を守るための武具である。同じ武器でも槍や弓と違い、常に腰に差し歩くことができる刀は太平の世となった江戸時代においても平時における武士の身の守りであった。俗に「刀は武士の魂」と言われる。刀は武士の魂、つまり命を守るためのものだからである。そして身体的な命だけではなく、武士としての誇りを守るためのものであった。

刀は武士が武士であるための武具だった

戦闘階級である武士たる者が丸腰でろくに抵抗もできず、無残な最期を遂げたとしたらこれほど無念なことはない。同じ死ぬにしても果敢に戦って果てるならむしろ名誉といえるかもしれないが、なぶり殺しにされるのでは面目が立たない。入浴中に惨殺された源義朝(1123〜1160)の、今際の際の絶句が「せめて木太刀ひとりありせば」であった。志半ばにして死ぬことの無念はもちろん、戦場で散る武士の本懐を遂げられない無念さが伝わる最期である。

また、刀は武士らしく死ぬための、つまり武士の誇りを守るための武具でもあった。それは自害・切腹のように自らに対しても向けられる、自分に厳しい側面である。武具は他者を殺すだけの兵器ではなかった。

西洋史における刀剣の神秘

現代の銃火器やミサイルの類のような殺戮兵器とは違い、古来の武具は単なる兵器でなかった。例えば弓も魔を祓う武具とされてきた。現代でもいくつかの神社で鏑矢などを射る「追儺弓神事」、弓の弦を鳴らして邪気を祓い、厄除招福を祈念する「鳴弦の儀」など弓を用いた神事が伝承されている。

そうした武器の中でも刀剣は特に神秘的な逸話が多い。古来、刀(剣)には魔を祓う霊性が宿っていた。西洋でもアーサー王伝説に登場する聖剣「エクスカリバー」は有名でRPGでは定番の武器である。剣ではないがイエス・キリストの死を確認するために刺したとされる「ロンギヌスの槍」は聖槍として今に伝えられている(アーサー王伝説にも聖槍は登場する)。

日本における刀剣といえば

聖なる剣と言われて日本人が思い出すのは天皇継承の証である「三種の神器」のひとつ「天叢雲剣」または「草薙剣」だろう。須佐之男命が八岐大蛇を倒した後、その尾から生えて出てきたものだという。後に神武天皇の東征の際に日本武尊が携えた。草薙剣の名は日本武尊が焼津の地で火攻めにあった際、この剣が周囲の草を薙ぎ払ったことに由来する。現在は熱田神宮の御神体として祭られている。この大蛇退治に須佐之男命が奮った剣が「十拳剣」または「天羽々斬」である。大蛇の尾の中にあった草薙剣に当たって刃が欠けたとされるこの剣は、伝承によると石上神宮に「布都斯魂剣」と呼ばれる御神体として鎮座している。

他にも、源頼光(948〜1020)が京を騒がせる鬼の頭領・酒呑童子の首を切り落とした「童子切」。頼光の側近・渡辺綱(953〜1025 )が酒呑童子の一の家来・茨鬼童子の片腕を切り落とした「髭切」。ある武士が「にっかり」と不気味に笑う女の幽霊に斬り捨てたという「にっかり青江」など、鬼を切り魔を払う武器としての名刀の逸話が伝えられている。また、加賀藩主・前田家に伝わる「大典太」は枕元に置くと病人の病が治癒したという。そのような神秘的な霊性を孕む刀であるからその逆もある。「村正」は代々徳川家に仇を成すという妖刀としての伝説が広く伝わった。こうした伝承は刀のもつ神秘性が生んだものだろう。

故人を守る神秘的な武具

武具は人間の生殺与奪の権を有する道具である。武具を構える時、武具を向けられた時、それは生死の間に立つ時である。武具はそれ自体が生と死の狭間に位置する神域であった。同じ武器でも現代ではボタンひとつで一国を滅ぼす殺戮兵器となってしまった。ターゲットたる人間は魂など考慮されない物理的な単なるモノである。かつての武具に由来する守り刀と殺戮兵器の比較は、故人を死後もなお魂として見送るか、単なるモノとして処理するかの違いを表しているといえる。生死の狭間に立ち、多くの不思議な逸話を残し神秘を孕む刀や弓。守り刀はそうした神秘にすがり、死してなお故人を守ってほしいという家族らの思いが込められているのである。

ライター

渡邉 昇

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